当初「ヤシマ作戦」として節電することによって被災地を助けようと呼びかけられたが、実際に節電が必要なのは東京電力管内だけであること、また被災地ではなく首都圏の電力不足への対応であったことなどが後にわかってきた。これらの情報の混乱に基づくデマは、善意による拡散を伴う。その結果、正しい情報がわからずに混乱することになる。これらのデマには、不安も混じっているようだ。「関西以西でも大規模節電の必要」はデマ。関西から関東方面に送れる限界量の電力を確保。(
東日本大震災にかかる関西電力の対応について)「筑波大学の連絡で約一時間後には茨城にも放射能が来る」との情報。「2011/3/15 13:00」とタイムスタンプまで付いているが、サイトを調べれば簡単に悪質なデマだとわかる。
筑波大学 最新情報 福島原子力発電所の事故に係る対応について 「天皇陛下が京都に避難された」との噂の情報元は2ch(
元レス)。
宮内庁が否定。「農水省に非常事態通達「明日は出勤しなくていい」」は農水省の現役の方が否定。
Twitter。「今日の夕方、友人に防衛省の夫を持つ人が家族に「東京から家族を逃がせ」と言われたとのこと。その後、総務省の友人にも連絡したところ、総務省はほとんど空になっています。東京にいる方、逃げて!!」(3/16)はデマ。「東京電力アカウント@OfficialTEPCOは公式を騙った偽物」というのは誤りで、本物。「富士山から煙が出ている」はデマ。富士山周辺には大量のライブカメラがあるので自分で確認できる。
科学的・医学的な専門知識がないと真偽がわかりづらいことについてはデマが発生しやすい。その亜種としてトンデモ/疑似科学的な情報も存在する(こちらは主唱者は本気でそう信じている場合が多く、判別は容易だが対策が難しい)。 「市原火災で有害な雨が降る」のチェーンメールはウソ(
読売新聞)。タンクの中身はLPガス。「放射線対策にイソジン・ワカメが良い」はデマ。放射線医学総合研究所の発表(PDF:
ヨウ素を含む消毒剤などを飲んではいけません-インターネット等に流れている根拠のない情報に注意-)をご覧ください)。「ホウ酸を食べると放射線を防げる」は嘘。ホウ酸は人体に有害なので絶対に食べてはいけない。「犬吠埼に風力発電所を立てれば原発は不要。東電はそれを隠している」は、もともと非現実的な話の模様。
実証されていない結果であることの検証。
「千葉県の犬吠埼の沖合に風車をいっぱい建てたら東京電力の2005年の年間電力販売量にほぼ等しかった」のワナ。「日本の放射線量の基準値はWHOの数十倍(20倍、30倍等)」であるという情報について、「WHOの20倍だから危険」と即断するのはデマ。
Togetter - 「放射線量の安全基準値がWHOの20倍で危険というのはデマ。」を参照。東大病院放射線治療チームがツイートした「水を煮沸することで放射性物質が取り除ける」は誤り。既に削除・訂正済み(
訂正・
追加情報)。逆に濃縮の危険がある。これは専門家が誤情報を流布してしまった事例に当たる。「被ばくした作業員2名は東大病院で死亡し、私もその治療に当たりました。」という
東大病院放射線治療チームのツイートは、今回の事故ではなく1999年東海村の話。前後のツイートも確認のこと。これは前後の情報欠落による誤読。「タバコにはポロニウムが含まれていて危険」はデマ。喫煙による被曝量は非常に軽微であることが計算されている(
タバコを一日30本吸うと年間レントゲン300回分被曝するか(解決編))。「ヒマワリが放射能汚染を除去」は誤解を招く表現。「除去」というものの「無害化」ということではなく、あくまで「吸収・蓄積」であり、放射性物質が蓄積されたヒマワリを何らかの方法で適切に処理する必要がある。検証段階。「原発がどんなものか知ってほしい」という文章は、数々の疑問や反発が挙がっているもので根拠たりえない。少なくとも学術的な信頼を得られていない。反論として「
原発がどんなものか知ってほしい 第2版 - faireal.net」「
原発がどんなものか知ってほしい?」などを参照。読売も報じた「
山本堪 : ドイツ気象局 (DWD)による粒子分布シミュレーションの日本語訳」は、あくまでも「仮に放出されたとしたらこうなるだろうという予測」を計算したものであって、実際に起こる/起こっていることではない(
「ドイツ気象庁(DWD)による粒子分布シミュレーション & 片対数グラフの説明」)。「4月7日夜の大きな地震で、仙台のNHKカメラに映った光は原発からのチェレンコフ光」はデマ。直後に停電が起きており、変電所でのショートが原因の可能性あり。方角が違うため原発と無関係であるのは確実。「命の三角形」理論(地震の際には机やテーブルの下に潜り込まず、その横に入れという説)は、科学的な立証がなされておらず、反論も多数ある(
「命の三角形」を信じてはいけない理由、
アメリカ赤十字による反論(英文))。「
東日本大地震が地震兵器による攻撃である可能性 :: ベンジャミン・フルフォード」はもちろん根拠なしのトンデモ理論。
マスメディアによる誤報がきちんとした形で訂正されないために、それがデマとして根強く流れる事例も多い。記事削除だけではなく、訂正(名誉回復)報道が必要だが、充分に行なわれていない。 「福島・双葉病院で病院関係者が患者を置き去りにして逃げた」は誤報。すでに県も訂正済みだが、誤報は削除されるだけで名誉回復記事はなし。実際の状況については当ブログ「
福島・双葉病院「患者置き去り」報道の悪意。医師・看護師は患者を見捨てたりしていなかった(追記あり)」を参照のこと。この誤報に基づいて政治家が医師を強く批判する事例もあった。 「
米"放射能パニック"隠蔽政府にヒラリー激怒「信用できない」 - ZAKZAK」については、「
ZAKZAK反日記事のソースを調べてビックリ - ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記」で検証されている。 「ディズニーランドが4月上旬に営業再開」は報道各社が伝えたものの、誤報だった。オリエンタルランドが公式にこれを否定し、再開未定と述べたが、誤報がデマとして流れ続けた。現時点で5月以降の再開が予定されている。
政治家個人を貶める意図でのデマ政府関係者などに対して、政治的に貶める意図を背景としたデマが流されている。なお、この事例集では民主党議員と辻元清美氏に対するものが多いが、実際にこれらの人たちに対するデマが多い。それを否定しているのでわたしが現政権や辻元氏のシンパと勘違いされるかもしれないが、単にそういうデマが多く、また事実ではないということである。 「仙谷前官房長官が11日徳島で地震に関する不謹慎発言」はソースなし。仙谷氏は夕方まで官邸にいた(
首相動静―3月11日)。「菅首相がこの間も豪華な夕食をとってる」という話はデマ。首相動静を見ると基本的に首相官邸にこもっている。「鳩山前首相 「原発から半径200キロは住めない」 九州から」という投稿は
2chが初出。1-8の投稿のIDがすべて同一で極めて不自然、かつ提示されたソースは無関係な記事。ちなみに鳩山氏は当日、北海道の日高地方で現地視察を行なっていた(
鳩山前首相も日高各町を視察:苫小牧民報社)。「仙谷由人氏16日から訪韓」「仙石氏が韓国を訪問している」はデマ。元々の予定も15日からだったが12日に取りやめになっている(
仙谷氏、韓国訪問取りやめ。「小沢一郎被災で安否不明」は誤り。都内にいた(
小沢氏はいずこへ 地元入り断念、都内で調整役専念)。「蓮舫発案のコンビニの深夜営業禁止より、節電の為全国パチンコ店1週間の営業規制を政府に訴えよう」という呼びかけに関して、蓮舫氏がコンビニ規制を発案したという部分がデマ(
日テレNEWS24)。逆に「石原知事は、節電の協力を求める蓮舫節電啓発担当相に対し、午後10時に消灯することや、コンビニエンスストアの深夜営業の中止など、国として政令を出すべきだと訴えた」とあり、コンビニの深夜営業中止を実際に発案したのは石原都知事。「辻本補佐官が米軍救援活動に抗議(NHK)」はデマ。同じソースのコピペと思われる文面が数多くツイートされているが、肝心のNHK報道が存在しない。初出は
2chの投稿。「辻本補佐官、米軍の救援活動に抗議。「事前協議なしの着陸は安全を無視した行為。」(NHK) 」として、辻「本」という誤字(正しくは辻元)も含めてそのままツイッターで拡散された。
辻元清美事務所も公式に否定。上記デマに加え、「さすが阪神大震災の被災地で「自衛隊は違憲です。彼らから救援物資をもらわないで!」とビラを配った馬鹿者」と追記されたものも出回ったが、こちらもデマ(
辻元清美氏と阪神大震災)。デマの初出が2009年。震災当時ピースボートが配布したちらしにもそのような趣旨は見られず。「辻本大臣原発内の瓦礫除去に戦車投入反対(NHK)」はニュースの存在が確認できないデマ。先のデマと同様の「辻本」という表記の誤りあり。出典は
2ch。 「民主党(orピースボート)による物流阻止を梅沢富美男氏がミヤネ屋で証言」はデマ。本人がブログで完全否定(
梅沢富美男オフィシャルブログ)。 「ピースボート(PB)が福島で救援物資を足止め」はデマ。「
辻元清美らの悪行!裏がとれたぞ!|スミスのブログ」において情報源とされる「あ~るさんの日記」の出所が不明。一方、ピースボートスタッフ大畑氏によれば、ピースボートは福島では活動していない(Togetter - 「ピースボートの物資横流しがデマである俺的解説まとめ」
1・
2・
3・
4)。なお、辻元清美氏は15年前にピースボートを離れている。
外国からの支援を政府が邪魔するというデマ外国からの支援を政府が妨げたという種類のデマは一グループにできる。 「在日米軍ポンプ車到着も日本側から支援断られる」と報じられたが、在日米軍によって後に訂正された(
訂正記事)。訂正前の情報が一部で拡散されている。「日本政府が米軍の支援を拒否、米軍は独断で支援強行」はソースなし。逆に、米軍が日本側と連携を取って支援活動を行っていることは明らか。「台湾救助隊が日本政府に拒否され、台湾は民間から派遣」はデマ。このような報道(
台湾の救援隊、2日待たされ到着)から尾ひれがつき、偽情報が加わったもの。日本政府と台湾の連携を示す台湾政府公式記事(
日本が台湾に緊急救援物資の提供を要請、外交部は寄付を呼びかけ、
台湾の捜索救援隊が羽田空港に到着)。
政策・政党・政権に対する批判的デマ政府を批判する趣旨のデマも多く流れている。「そんなひどいことをやってるのか!」という怒りを増幅させる効果のあるデマだ。 「日本では物資の空中投下が認められていない」はデマ。実際に報道(
支援物資の調達費、国が全額負担 自衛隊10万人、きょう被災地で投下)もあり。
ヘリから救援物資投下、電話で許可 国交省が申請簡素化 :日本経済新聞。航空法89条(投下の禁止)は自衛隊機には適用されない(
自衛隊法)。「民主党がカップ麺を買占め」という情報はデマ。ソース記事「
買い占めダメって言ったのに!民主にカップ麺が30箱も...」でも「買い占めじゃない」「あらぬ嫌疑をかけられてしまった」と紹介されている。「福島から避難してきた子供に教科書が配布されない」はデマ(
災害により教科書が滅失又はき損した場合における教科書の供給等について:文部科学省)。既に発信元の方は訂正済み。「事業仕分けで学校耐震化予算が削減された」はデマ。削られたのは「耐震化等」という名目で耐震化以外の事業に使われていた予算であり、耐震化予算はむしろその分増額されている(
「学校耐震化予算削減」はスポーツ利権目的の大嘘)。「原子力事故における電力会社の損害賠償額には1200億円の上限がある」は誤り。
文部科学省のQ&Aでは「原子力事業者は生じた原子力損害の全額を賠償する義務を負っています(無限責任主義)」と明記。「福島原発は2010年8月から保険がかけられていなかった」(
福島原発と東北関東大震災に関するフランスメディア・ニュース)の和訳記事には、誤訳および欠落が多い(
福島第一原発に保険がかかっていないという話について調べてみた)。「政府は当初全ての意味において炉心溶融(メルトダウン)の可能性を否定していた」は誤り。炉心溶融の可能性は地震当日より政府が発表し、報じられていた。「政府・東電発表以外の憶測を語る者は摘発すると警察庁が発表」は大袈裟な解釈で誇張表現。「
ネットのデマ、警察庁がチェック強化 悪質なら摘発も」という報道もあるが、この記事でも「被災地で強盗や性犯罪が多発している」といったデマが例示されており、大本営発表以外は摘発という解釈は成り立たない。「
総務省の「デマ削除要請」 「言論統制」というデマに?: J-CASTニュース」「皆さん、聞いてください。原発放射能避難で車の通行料金を徴収している事実を。避難勧告をしながら通行料金をとる。管総理は何をしているのだ!直ぐに通行無料にしろ!」という連続ツイートが拡散されたが、情報のゆがみ(
Togetter)。実際には「「原則」は無料なんですが、再避難の際の料金や、首都圏を通る際のスキームが全くなっていないのです。私自身も現金がない中、結構な金額を請求されてしまいました」(
南相馬の建築士玉川光昭氏のツイート)というのが実情。また、
NEXCO 東日本も通行料金の無料措置を告知。 「ヤマダ電機大船渡店で単一電池4本2千円」はデマ。そもそも大船渡店は営業していなかった(
ヤマダ電機公式。 「堀江貴文氏は寄付金の一部を手数料と称して着服している」はデマ。堀江氏に逮捕歴がある事のみを理由としてある人物が主張しているが、何の根拠もなし。堀江氏本人は当然否定。 「医師会が原発50km圏内に医師を派遣しないよう勧告した」は完全なデマ。日本医師会が公式に否定しており(
日本医師会:東北地方太平洋沖地震に関連する情報:ネット上の書き込みについて)、50km内で災害医療チームの活動実績もある。 「行方不明扱いだった東電職員は冷却装置を誤作動させ郡山市に逃亡していた」は完全なデマ。職員は原発内で遺体で発見された(
東電社員2人の遺体発見 福島第一原発で津波被災か)。コラムニストとネット裏情報サイトが流布したデマ。 放射性物質97%除去のミネラルウォーターを販売している「東電システム(株)」という会社が、「東京電力の子会社によるマッチポンプ」というのはデマ。実際には東京電力とは何ら資本関係がない(
【東電システム㈱】放射性物質を97%除去する浄水器を発売 気になったので電話をしてみた)。 「東電本社前のデモが国内では全く報道されていない」という意見について、扱いは小さいかもしれないが、報じられていないというわけではない(
東電本社前のデモが国内では報道されていない!→されている)。 外国人差別を背景としたデマ特に悪質なのは、関東大震災時の「朝鮮人が井戸に毒を入れた」というデマとまったく同じ類の、「韓国・朝鮮・中国人が暴動・略奪・レイプ等を行なっている」という根も葉もないデマである。 これらのデマは特定の層が執拗に流していることが確認されている。このような差別意識を背景としたデマを流すような人間がいるということになれば、「日本人は低劣だ」と思わせることにもなりかねない。そういう行為こそが本当の意味での「反日」ではないかと思うのだが。 「阪神淡路大震災のとき、地震で、朝鮮人によるレイプ多発の事実と、放火説があります」というデマを意図的に流す人たちが続出(
「地震のどさくさに差別をたれ流す人々」、
「東日本大震災の直後に広がった人種差別と「レイプ多発」というデマ」)。震災時の強姦事件の存在については諸説あるが、それが「朝鮮人による」というのは明らかなデマ。「仙台市三条中学校が中国人・韓国人が7割の留学生らの心無い行動で避難所機能停止」はデマ。
自民議員が否定。
Togetter(13日に火事があって避難所として使われず、トラブル発生デマは17日)、
仙台在住の方が確認。「歌手のBoAさんがTwitterで不謹慎発言」は2ch発の完全なデマ。ソースとして提示されたこのサイト(
日대지진.. 新한류 우려? 한류★타들, "日안전이 우선")では、実際は「日本の皆さんの無事を願います」など被災者を気遣う発言が紹介されている(
日本語訳などの詳細)。 「韓国が震災記念Tシャツを作成」という表現は誤り。元ページは
일본 대지진 '기념 티셔츠' 판매? : 야후! 미디어 - 세상을 만나는 창。震災「記念」は誤訳で、実際には売り上げが寄付されるチャリティーグッズ。 「こんな非常事態の日本に韓国が借金の申し出。しかも管は快諾!」という情報は裏付けなし。出典は
個人ブログで根拠なし。 「中国の救援隊が遺体写真を撮影」はデマ。写真はAPやロイターが伝えたもので、中国救援隊が撮影したものではない。撮影場所もバラバラ。 「中国救出隊が遺体写真を撮影」のデマと結び付いている「被災地の写真」は、中国映画『唐山大地震』(日本では公開延期中)のワンシーン(
「アバター」を超える人気、「唐山大地震」、各地で興行収入を更新)。 日本ユニセフ、アグネスへの攻撃わたし自身はいわゆる「非実在青少年」問題において創作上の表現規制に反対する立場であり、その点においてアグネス・チャンさんなどに対しては批判的な意見を持っている。だが、その批判において、デマやウソで攻撃することは完全に誤りだと考える。これはアグネス擁護ではなく、アグネス批判者が「デマで攻撃するような奴ら」だと思われたくないという気持ちもあることを理解していただきたい。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎し」はよろしくない。 「アグネスさんの折鶴紛失」は2chのネタ(
不謹慎だけどお前らが爆笑しそうなニュース考えた)。スレタイにも明記。3/15に投稿されたにもかかわらず、記事の日付は3/18。「寄付まとめ:ブリトニー6億 ガガ゙1億 東芝5億 パナソニック3億+物 トヨタ3億 キヤノン3億 三菱東京UFJ銀、三井住友銀、みずほグループ、シティバンク銀、野村證券、大和証券 各1億 ビカス(ネパールカレー屋)10万円 大富豪アグネス・チャン:折り鶴」というコピペは意図的な編集。 アグネスは折り鶴も折ったが、当初から募金もしていた(
Togetter - 「「募金 アグネス 折り鶴」という不正確な情報の拡散」)。 「日本ユニセフは国連のUNICEFとは無関係の団体だから募金してはいけない」という説に関して、少なくとも無関係というのは誤り。
UNICEF公式より、アグネス・チャン氏写真。
UNICEF公式から日の丸をクリックすると日本ユニセフ協会に飛ぶ。「全額を日本の災害救済に使わない」という表記は公式サイトにも記載されているが、Apple Storeから米国赤十字社へ寄付できるページにも同様の文面が書かれている(
該当部分強調画像)。おそらく、契約社会のアメリカにおける寄付行為の説明責任の常套句。 「日本ユニセフが震災義援金を他用途へ」という情報は、余剰発生分のみ。日本ユニセフは自らの口座から拠出する1億円+集めた義捐金を本部に送り、原則全額支援に充てると明示(
日本ユニセフ協会お知らせ)。「フジテレビ募金の行き先は日本ユニセフ」はデマ。実際には日本赤十字
被災地に関する不正確な情報 現地入りすることが難しいために、被災地に関する不正確な情報が流れた。 「宮城県花山村が孤立」はデマ。花山村は合併で栗原市になっており、現在は存在しない。 「いわき市田人で食料も水も来ていなく餓死寸前」はデマ。いわき市議が否定。14日から給水も始まっていた。「北茨城・高萩乳児餓死」はデマ。
県議が否定、県による乳児の死者報告なし。「このままでは茨城で餓死者が出かねない」というツイートがあったが、17日ごろから「餓死者が出た」「赤ちゃんが亡くなった」に変化。「石巻の避難所で幼児が餓死」は未確認。3月15日の辰巳琢郎氏ブログ記事に端を発するが、本人が訂正と補足をしている(
辰巳琢郎オフィシャルブログ)。 「新幹線はやぶさ震災のため廃車」という情報について、公式発表はないが廃車の事実は認められず。4本中2本は地震発生時新青森の車庫にあり、2本は仙台で無事。「(東北新幹線再開後も)徐行運転では最高速のイメージが損なわれる。一方、新型車両が東北に元気を与えることも考えられ、すぐに運転再開させるか悩んでいる」との談話あり(
JR東日本:大震災後は4割減収)。 好意的すぎる予断悪意を持って貶めるデマは非常に多いが、一方で好意的な予断によって「あの人ならそういうことがあってもおかしくない」と思われて生まれたデマも多い。悪意がなくてもウソはウソという典型例。 「ワンピースの尾田栄一郎さん15億円寄付」はデマ(
アメーバニュース)「トルコが100億円支援」はソース無しの上、記述の一部が明らかに間違い(
Togetter)。トルコからの救援自体は実際にあった。 「天皇陛下が地の神を鎮めるために徹夜で24時間の祈祷」は、ソースがブログ・2c・Twitterとグルグル回ってどこにも行きつかない。明らかなネタ。神道的にもおかしい。 「ジャッキー・チェンさんが全財産を東日本大震災の被災地へ寄付」は不正確で、二つのニュースが融合したもの。ジャッキーは、息子(ジェイシー・チェン=房祖明)に遺産は残さず、全財産を何らかの形で寄付する、と発表した(すでに資産の半分は寄付済み)。 一方、今回の震災に対しては香港での4月1日のチャリティーイベント「愛心無国界 311燭光晩会」を主催、個人でも300万香港ドル(3200万円)を寄付した。この二つの情報が誤って融合したものだが、産経などの見出しが誤解を生みかねない表現だった。 ネタから出たデマもともとネタだったものを本気で取る人がいたためにデマ化したもの。だからといってネタ禁止というのも堅苦しいと思うのだが。最後に実害の少ないネタもここに入れておく。 「枝野官房長官105時間ぶりに就寝」は、「枝野寝ろ(#edano_nero)」を踏まえたネタ(
@krnmrr)。つまり、枝野「寝た」という「ネタ」だった。そもそも枝野官房長官が105時間寝てないという話も根拠なし。参考までに、地震発生からの経過時間は当時約80時間。「静岡ガンダム崩壊」は以前作られたネタ画像(
Togetter)。「
オバマ大統領の演説(諸君がまもなく赴く戦いは、人類史上最強の救出活動となるだろう)」は
映画「インディペンデンス・デイ」の台詞の改変パロディ。「「不謹慎」自粛を要請」の画像は偽新聞のネタ(
Twitpic)。「【速報】原子力保安院が重大な隠匿・捏造」(
写真等)は、タイトルに反して「実はズラだった」というネタであるが、実はそこで比較されている写真自体が別人のものだった(ズラか否かは不明だが、写真は別人)。「ACの『ぽぽぽぽーん』を歌っているのは矢野顕子」は誤り。歌は松本野々歩さん(
公式サイト)。デマを生み出すもの以上、震災後1カ月足らずの間に流れて明らかなデマと判断できる80件をサンプルとして抽出した。根本的には、このような混乱時に「信じたい情報」をつい信じてしまうという心理が背景に横たわっているように思われる。これらを分類すると、「混乱」「無知」「誤解・誤読」「悪意・攻撃」「差別」「好意」「情報不足」「ネタをネタと理解できない」といった要因が見て取れる。これをさらにグループ分けすれば、「混乱・無知・誤解・情報不足」という情報の問題(真偽不明の情報が多すぎても混乱、少なすぎても混乱)と、「悪意や差別的意識にもとづいて意図的に流された攻撃的デマ」の二種類があることがわかる。もちろん、悪意による攻撃を意図したデマが最も重大であることは言うまでもない。少なくとも、わたしたちは意図的にこのようなデマを作成したり、その流布に荷担したりしないようにする必要がある。そして、そういうデマに荷担することは、自分自身の品性を貶める(自分自身を損ない、傷つける)行為だと自覚する必要がある。 次いで、情報の混乱によるデマについては、どうしてもデマを見抜けない場合が出てくるだろう。これは速やかな訂正と正しい情報を拡散することで対処するしかない。ツイッターの場合なら、「間違ってました」とツイートするだけでなく、誤った情報を書いたツイートを即座に削除することが必要である(消さないといつまでも流布してしまう)。最後に、ネタはネタとして「息抜き」と考えるべきだろう。騙されたら笑って頭をかけばいい。逆に言えば、こういう時期なのだから、シャレになるネタをやるべきだ。まあ中にはDHMO(一酸化二水素)ネタで激怒するようなおかしな人もいるわけだが、そんな人まで相手にしていたらきりがない。人を傷つけたり貶めたりするのではないユーモアは、今の時期だからこそ必要ではないか。今回はとにかくざっとまとめてみたレベルである。社会学/社会心理学的には、これらのデータをもとにまた分析することが可能だろう。デマ関連ページリンク
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