[ニューヨーク 27日 ロイター] 米国の投資家は27日、米JPモルガン・チェース<JPM.N>と英HSBCホールディングス<HSBA.L>が銀価格を下落させ、多額の利益を不正に得たとして、ニューヨークの連邦地方裁判所に2社を提訴した。 訴えによると、世界的な金融機関である2社は2008年上期以降、銀価格の下落で利益を得るように銀先物の売り持ちを大量に抱え、ニューヨーク商品取引所(COMEX)の銀の先物・オプション相場を操作したという。 コネティカット州在住のブライアン・ビーティー氏とニューヨーク州のピーター・ラスカリス氏が、両社を相手にそれぞれ訴えを起こした。 二人は、COMEXで銀の先物、オプションなどの取引をしていたが、相場の操作によって損をしたと主張し、損害賠償を含めた救済を求めている。集団訴訟の形式をとろうとしており、賠償額は3倍になる可能性がある。 JPモルガンとHSBCの広報担当者からのコメントは得られていない。 米商品先物取引委員会(CFTC)は26日、価格操作を図る取引を阻止するための権限強化を提案。CFTCのチルトン委員は、これまでに銀価格を巧妙に操作しようとする不正行為があった、と述べた。 CFTCは2008年9月に銀の価格操作の疑いに関する調査を開始している。CFTCの広報担当者は、進行中の調査についてコメントしないと述べた。 27日付の米ウォールストリート・ジャーナル紙が関係筋の話として報じたところによると、CFTCは、JPモルガンが銀の価格操作に関与したとのロンドンのトレーダーからの情報提供を受け、数カ月前から同行の銀のトレーディング部門を調査している。 CFTCの調査開始以来、銀現物価格は1オンス=8.42─24.90ドルで推移。27日は23.55ドル近辺で取引されていた。 銀先物は年初来39.1%上昇している。
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